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湿潤治療

ネットで、何もしないスキンケアとか白色ワセリンについて調べていた時、『傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学』という本を紹介している記事を目にした。 本のタイトルにスキンケア等の言葉はなかったが、自分が敏感肌ということもあり、ちょっと読んでみた。

傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)

傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)

 

この本の著者である夏井睦氏は、もちろんご自身も医師であり、専門は形成外科。 「創傷・熱傷の湿潤療法」を広めた人物として知られている。

医学の基礎研究の分野では、1960年頃から「傷が治るとはどういう現象なのか」についての研究が始まり、傷が治るメカニズムが解明されてきたのに、なぜ かその知識は研究者の間でしか知られておらず、実際に傷の治療が行われている医療現場には全く伝えられていなかったのだ。
(「まえがき」より)

上記はこの本の「まえがき」の中からの引用であるが、夏井医師は「傷は消毒してガーゼを当てる」という治療が科学的根拠のない風習に過ぎない」ことに気がつき、今まで行われていた治療方法ではない「傷の湿潤治療」を提唱し始めた。

 では「傷の湿潤治療」とは何か。 それは「傷を消毒しない、傷を乾かさない」という二つの原則を守るだけの方法で、夏井医師によると、この方法を行うことで傷が驚くほど早く、しかも痛みも伴わずに傷が治ってしまうそうである。 しかし「傷を消毒しない」という言葉を見ても想像がつくとおり、医学会や医師たちから猛反発というか批判を受けることになる。 それはそうだろう。 私たちの普段の生活の中でも、擦り傷や切り傷はまず消毒してから手当てをするというのが当たり前になっているわけだから。 子供の頃、校庭で転んでひざからちょっと血が出たからと保健室でも行こうものなら、「ちょっと痛いけど我慢してね」とか何とか言われて消毒。 それから絆創膏かなんかを貼ってもらったりして。

提唱し始めた頃はほとんど一匹狼ともなってしまった夏井先生だが、最近ではこの「湿潤治療」に賛同・実践する医師もいらっしゃるみたい。 この本では、傷が治る仕組み、消毒について、湿潤治療をするようになった理由、湿潤治療例(湿潤治療を行っている病院も紹介)、傷の治療の歴史、はたまた 天動説まで飛び出し、新しい説を提唱したときにその分野に起こる現象などにまで話しが及ぶ。 そして、傷から皮膚や細菌(皮膚常在菌)へと話しは進み、石鹸やシャンプー、化粧品と皮膚の関係まで説明している。 新書のわりには、結構内容が豊富で充実している。 ただ、傷の治療や皮膚のメカニズムに関する具体的な説明や例だけが書かれているわけではないので、途中で読むのを止めてしまう人もいるかもしれない。

自分的には、皮膚や皮膚常在菌、そして石鹸やシャンプー、化粧品と皮膚の関係などに関しても書かれていたし、「傷を消毒しない、乾燥させない」という「湿潤治療」は初めて聞く言葉だったので、結構興味深く読んだ。

ところで、先日ダンボール箱をカッターで切っていたとき、うっかり足をカッターで切ってしまった。 なぜ足?という感じだが、しゃがんでいたので、膝の横辺りを切ってしまい、尚且つ血がなかなか止まらなかったので近所の町医者へ行くはめになってしまっ た。 医者も出血がひどいのを見て、「傷がずいぶん深いのでは」と心配したそうだが、傷口をよく見たらカッターの刃が斜めに入ったようで、傷口はそれほど大き くないのだが深い部分の組織まで切れていたそうである。 結局5針縫った。 「何針縫った」という怪我はしたこともなかったので、縫うとはこういうことかなどと思ったのだが。 まあ、治療の時医者はもちろん消毒してたけど。

湿潤治療等に興味のある方はこちらもどうぞ。
夏井睦先生のサイト:新しい創傷治療―「消毒とガーゼの撲滅を目指して